ロンドンでのカミングアウトを振り返る。
10月5日
こんにちは、Nozomi(Nozomi_UK)です。
イギリスに引っ越してもうすぐ1年半が経とうとしています。
婚約者ビザで渡英、結婚、配偶者ビザに切り替え、と最初の6ヶ月間は怒涛の勢いで過ぎ去って行きましたが、今は仕事にも慣れ、生活も落ち着き、新しい人との繋がりも増えていきました。
そん中でゲイ夫夫である僕たちが日々経験するものがあります。
それは『カミングアウト』です。
ということで、突然なタイミングですが、今日は『カミングアウト』というトピックに絞って、この1年半で僕が経験した事をシェアできればと思います。
カミングアウトとLGBTs
少し前、杉田水脈議員や新潮45の件から派生して色々なニュースに取り上げられていましたが、「LGBT」もしくは「SOGI」という言葉を耳にしたことがある人は多いと思います。
SOGI(ソギ、ソジ)は、英: Sexual Orientation & Gender Identityの頭文字を取ったアクロニムである。日本語では「性的指向と性同一性」などと訳される。
性的指向や性同一性は、すべての人に関わることからLGBTよりも広い概念を指す。「LGBT/SOGI」のようにLGBTと併記して使用されることも多い。
(Wikipedia『SOGI』ページより引用)
その中でも(僕自身も含めて)このLGBTsに当てはまる人、つまり性的指向や性自認の部分で少数者(マイノリティ)とされる人にとって、その事について周囲に打ち明けるかどうか、つまりカミングアウトするかどうか、という選択は切っても切り離せないもの。
ただ、カミングアウトするかしないかは全くもって当事者の自由で、カミングアウトした方が良い・しない方が良いというのはありません。みんなにカミングアウトする人もいれば、一部の人にはカミングアウトするけど一部の人にはしないといった人、それにカミングアウトに必要性を感じない人も大勢といます。
ちなみに僕は3年程前から友人や家族にカミングアウトをし始め、ゲイであることをオープンにして生活していますが、未だに久しぶりに会う知り合いや初対面の人には「いつ、どうやってカミングアウトしようかな…」とドキドキしてしまいます。
本当はドキドキなんてしたくないんですが、でもやっぱり個人的にはまだドキドキせざるを得ない状況なんです。
イギリスだとカミングアウトしなくてもいい…!?
1. 話しやすい環境
2年以上前、日本を出てミッキーがいるイギリスへ引っ越そうと決めた時、両親も含め周りからは「イギリスの方がきっと住みやすいもんね」としばしば言われました。
それはきっと「イギリスの方がLGBTsが広く認知されていて、理解も進んでいるから」という認識があったからでしょう。
実際に僕も「イギリスの方がオープンに住めるだろうな」と思っていましたし、受けるマイクロアグレッションも日本よりは少ないだろうなと思っていました。
参照:マイクロアグレッションについてはまどぅーさんのこちらの記事がオススメです!
そしていざイギリスに住み始めてみると、確かに日本にいた時よりも「自分の性的指向」に関する話を『話しやすい』場面が増えたように感じました。
ここで言う『話しやすい』というのは、『話す事を躊躇しなくて良い』という意味です。
そもそも、わざわざ「あ、実はゲイなんです…」って言う必要がない時が多いのです。
例えば僕がゲイである事を知らない初対面の人と話しているときに、何気なく「そういえば旦那さんが風邪引いちゃって〜…」みたいな話をしても何も驚いた顔をされません。
「え、ちょっと待って、旦那さんってどういう意味…?」とはならず、普通に「うんうん、それで?」って聞いてくれます。
もちろん、最初に「あ、実は僕、ゲイだから旦那さんがいるんだけどね」って言って話を切り出す時もありますが、それを言っても「あ、実は僕、異性愛者だから妻がいるんだけどね」って言われてるのと同じ感じで、当たり前な事として受け止めてくれることがほとんどです。
2. そもそもセクシュアリティなんて気にならない
もう一つ例をあげようと思います。
これは、いま僕たちが住んでいるフラット(集合住宅)に引っ越して来た時に、隣の家に住む方々へご挨拶に行った時のこと。
お隣の方々は50代後半くらいのおじ様・おば様で、彼らからしたらアジア人と白人の男性2人というのはさぞかし不思議な組み合わせなんだろうな、と思いながらご挨拶へ伺いました。
しかし、予想とは裏腹に何も突っ込んだ事を聞かれず、普通に「よろしくね!」と言ってくれたのです。
また、「どこ出身?」「いつイギリスに来たの?」という話の流れから、同性愛者であることは触れていませんでしたが「実は昨年の9月に僕たち結婚したんです」という事を伝えると、「そうなの!?おめでとう!」と自然に言ってくれました。
実は、彼らにはまだ僕や旦那がゲイであるとハッキリ伝えたことはありません。彼らからしたら僕たちはゲイであるかもしれないし、バイセクシュアルであるかもしれないし、それ以外かもしれない。けど、彼らにとってそんな事はどうだっていいのです。
彼らは僕たちを「隣に引っ越して来たカップル」と見てくれます。それは決して「隣に引っ越して来た”ゲイの”カップル」ではないのです。
もちろん、日本でも同じように反応してくれる人はいると思いますが、割合的にやっぱりまだイギリスの方が自然に受け入れてくれる人は多いのではないでしょうか。
それでもやっぱり面倒な時もある
これまでこんだけ「イギリスは良いぞアピール」をしてきましたが、正直イギリスでもちょっと面倒だな…っていう時もしばしばあります。
例えば僕の職場なのですが、業種的にオフィスにはいわゆる”男らしい”男性が集まっていて、時々ですがゲイの人に関することで笑いが起きている事があり、その度に僕は心の中で「ここにゲイいるぞ〜」って思っています。笑
(職場の一部にはカミングアウトしていますが全員にはまだ言っていません)
ただ、彼らもゲイやLGBTsの人のことを蔑んだり馬鹿にするようなことは言わず、ちょっとからかうくらいなので個人的にはそこまで気にしていませんが、そういった会話をされるとカミングアウトするタイミングを失ってしまうのですよね。
それともう一つ。
初対面の人に「こっちの人と結婚して配偶者ビザて滞在してるんです」って言うと、そのあと99.9%は「あ、じゃあ奥様はイギリス人?」とか「奥様は日本語話せるんですか?」って聞かれます。笑
いや、いいんです、いいんですよ、奥さんって言われるのは…!
だってそもそも同性愛者と比べたら異性愛者の方が割合だって大きいし、男の人に配偶者がいるって言ったらそりゃあ旦那さんではなく奥さんがいる人の方が圧倒的に数も多いですからね!?
だから自然と「奥さんは〜」ってなるのは理解できますし、それくらい僕も黙って飲み込んで、「あ、実は奥さんじゃなくて旦那さんなんです〜」って言います。
でもですよ
「奥さんじゃなくて旦那さんがいるんです〜」って言うと、特に日本人の方に多いのですが、「あ、いいですね〜素敵!私も友達にゲイの方いるんですよ〜」とか「そうなんですね〜私の友達の息子もそうなんですよ〜」みたいな事を言う方がいるんですね。
ちょっとこれは細かすぎるかもしれませんが、正直そういう「私の知り合い・周りにもいるので大丈夫ですよ〜」アピールみたいなの、僕はいりません…
お気持ちは嬉しいのですが、なんかこっちがそれを言わせるように気を遣わせちゃったみたいになって…
誤解しないでくださいね、お気持ちは本当に嬉しいのです。
でもあなたにゲイの知り合いがいようがいまいが、僕にはあまり関係のないことでして…
ロンドンの友人や職場の人に「奥さんは日本語話せるの?」って聞かれた時に「あ、奥さんじゃなくて旦那なんだ」って言うと、大体の人は「あ、オッケー。そんで、旦那さんは日本語話せんの?」って何事も無かったかのように会話が進みます。
僕個人としてはそんな感じが一番楽です。
もちろん日本人以外の方でも「私の親友もゲイだから大丈夫!」みたいな事を言う人はいますが、僕の経験上は圧倒的に日本人の方に言われる事が多いです…
まとめ
ということで、ロンドンでこれまで生活してきた中で夫を持つゲイとして『カミングアウト』という観点から楽であった事、その一方でちょっと面倒だなと思っている事を振り返ってみました。
ただ、この記事を読むと一見「ロンドンの方がやっぱり過ごしやすいのかな」と思ってしまうかもしれませんが、僕は一概に「ロンドンは日本よりも良い」とは言えないと思います。
それはイギリスにだってまだLGBTsに対する差別や偏見は残っていますし、それに僕たちみたくオープンに生きる人が全てでは無いからです。
オープンに生きる事を選択しない方々にとっては、ロンドンにも僕の見えない部分で暮らしにくいと感じることがあるかもしれませんし、逆に日本の方が良いなと思う事があるかもしれません。
ただ、僕個人の感覚としては、ロンドンでの方が周囲との関係作り・維持に余計な気を遣わなくて良いので、そういった面では楽だな〜と思います。
まだまだ1年半しか住んでいないロンドン初心者ですが、これからもSOGI/LGBTsに関する事をちょくちょく記事にしていきますね…!
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